eスポーツSGLANテナント電気設備新築工事

一般県道周船寺有田線道路照明灯設置工事
（1工区）

下山門団地共用灯修繕写真

福岡市西区磯辺公園トイレ改修工事

福岡市道路照明灯設置工事

防犯灯 福岡県福岡市西区姪の浜

箱崎中学校 電気設備改修工事

箱崎井堰

産業廃棄物収集運搬処理

不動産施行・実績

冊子「商業ビル1987　～商店建築増刊商業ビル1987　特集1「知遊化」時代の商業ビル～」に寄稿した所感

このビルは、デザイナー、アーチスト、思想家、写真家、音楽家、飲食店経営者など、まったく畑違いの分野の人間たちによって基本設計構想が練られた。 それぞれの、いわば理想、幻想がクロスオーバーした所で、現実の形をとっていき、醸成され、発酵し、場所-空間を一つの媒体と考えるところから生まれた。 ラサビルの構築スタッフは、ビルという空間を人肌メディアと規定した。
我々はまたこの空間を情報のフリーポートと考えた。すなわち、情報の発信基地でもない、受信場所でもない、情を携えた多数の個人がこの《港》に停泊し、憩い、享受し、また出港する。新たな目的地を目指す。その間にスタッフの目論見を越えた何かが醸成され、創造され、独り歩きする。その停泊した船＝顧客の中から優れた何物かをまず盗み、さらにこのビルにフィードバックしたいと、スタッフは考えている。
渡辺通りは難しい立地である。
周辺の導線が途ぎれ、フリー客を誘い込むのはきわめて困難である。ラサビルも、独立した個性の主張により、独自の顧客を自ら選び、絞り込まざるをえない。
客は、ついでにラサビルを訪れるのではなく、最初からラサビルを目的に、この空間に直行する。そのためにも、ラサビルは、立地構想、設計思想の段階から明確な意志・理念を打ち出してきた。
すなわち、客がこのビルを選択するのではない。ビル自体が、ビルの空間に相応しい客層を取捨選択するのである。ビルが必要とする客層のイマージュを設定し、家具調度品を選ぶように選び、あるいは、創り出すのである。
さらにまた、メインストリートに面したファサード前のゆったりしたスペース、横出口の付近の風景を取り込んだ解放姿勢も、基本の設計思想から生まれた。
情報時代と言われるが、テクノロジーのみが先行、独り歩きし、肝心要の「情報の主人は人間である」という視点が見失われつつある。
ラサビルが目指すのは、あくまで人間くさい情報、人肌の匂いのある情報、言い換えれば、セクシーなインテリジェントである。ミステリアスな部分、つまり、つねに未来への可能性、計算できない部分を残したインテリジェントビルを志向する。
チベットのラマ教の寺院をイマージュしたファサードは、そうした人間的神秘性を、形象化したものである。テクノロジー万能の現代にあって、余りにも人間くさく、しかも宇宙規模でのコミュニカシオンを希求する教義に、小さなぬくもりを求めたものである。
現在入室が予定されている（もしくは入居済の）テナントは5階エアロビクス教室、4階数社のグラフィックデザインオフィス、地階は19世紀英京の面影がにじむバーである。
そのそれぞれの客が交流し、呼び合い、そこに通うことを、一種のステータスにできるような、客同士のコミュニカシオンが相乗して、一つの小宇宙を創造するような空間、メディア構築が我々の望みである。 また、1～2階吹き抜けのロビーは、こうした交流空間としてのパブリックな意義づけはもちろん、常時、アーチスト、画家などに開放、それ自体を創造の場とする。
そして将来は、パソコン、ファックス、ワープロなどOA機器を備え、ビジネスとアート、ビジネスとホビーの融合を押し進める。
九州・福岡市という地域性は、かならずしもプラスではない。しかし、地域性・地域の特殊性をしっかりと踏まえたところでの、セクシーなメディアデザインを我々は訴求する。
このように地域性をあえて認知したとき、それは全国性、国際性にも通じるものとなる。　<辻野　里行>

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